国際シンポジウム
「後発的移民受入国の国際比較―移民受入れ政策をめぐる21世紀におけるスペ
インの経験と日本のこれからー」
主催:国際社会学研究会
開催日時:2019年11月16日(土曜) 10時開会 18時終了予定
開催場所:一橋大学 国立東キャンパス 東第2号館 2201大教室
JR中央線 国立駅南徒 歩約10分
海外ゲスト:
ポルテス、A(プリンストン大学名誉教授)、アランゴ、J(マドリード、コンプ
ルテンス大学教授)
ゴンザレス=ファーラー、アンパロ(スペイン高等科学評議会、上席研究院)、
ピニョル、ジェンマ(ポンペウファブラ大学教授)
使用言語:英語・日本語、日英同時通訳付き
開催趣旨:
日本は今、実質的な移民政策の大きな転換点に立っている。受入れの拡大は政
策の既定路線と考えられ、2018年に成立した改定入管法が今後形成していくシス
テムは、一般労働移民の長期滞在と定住化が、事実上部分的に想定されるものと
なっていくであろう。
今や、移民の適応促進と社会統合を図る制度設計と政策に関する、多角的で公
共的な熟議が求められている。このためには、既存の日本での経験を踏まえつつ
も、それを国際的に相対化して政策構想を行う必要があるだろう。高齢化がすで
に進行した段階で、遅れて移民受け入れを開始し、急激に受入数を増やしたスペ
インの経験は、現在の日本と大きく共通している点で重要である。急激な受入れ
を経験したスペインが、ごく最近まで大きな紛争を回避しえたのは、その積極的
な統合政策による部分が大きく、その政策実践から学ぶべき点は多い。
スペインの移民政策を設計した中心的研究者であるアランゴ教授、スペインの
移民状況を欧州全体の文脈に位置付けて分析を展開するゴンサレス氏、そして反
差別戦略の設計を進めてきたピニョル氏を招いて、日本の研究者との対話を通じ
て日本の状況との比較を試みる。また、両者を媒介する意味で、両国の移民政策
と状況に関心を持つアレハンドロ・ポルテス教授を基調講演者として迎え、スペ
インの政策と日本の現状とを比較することで、日本の政策形成者、研究者に新た
な視座を提供し、創造的な政策議論の活性化を図る。
海外ゲストプロフィール:
アレハンドロ・ポルテス Alejandro Portes (Professor Emeritus, Princeton University, Member of American Academy of Sciences)
国際移民論、国際発展の社会学、経済社会学を長きにわたってリードしてきた社
会学者。その打ち出してきたModes of Incorporation, Transnationalism, Segmented Assimilationといった概念に基づく研究は多くの移民研究者を刺激してきた。移民第二世代の研究であるLegaciesを国際比較分析として展開するなかで注目してきたスペインの移民政策と、近年関心を寄せている日本の政策を媒介する基調講演を期待している。
ホアキン・アランゴ Joaquin Arango (Professor of Sociology, Complutense University of Madrid)
スペインの移民研究を長くリードし、ヨーロッパ的な規模で活躍する政治社会学
者。スペインにおける2005年以降の移民の社会統合政策の基本デザインの形成に
大きく貢献した。教授の設計してきた移民社会統合政策というタイトルで行われ
てきた日本にとって示唆に富む多文化共生の実践を基調講演で語ってもらう。
アンパロ・ゴンザレス Amparo Gonzalez-Ferrer (スペイン高等科学評議会、上級研究員)
ヨーロッパへの広範な移民現象の分析で知られるが、近年EUレベルでの移民の大
規模な国際共同研究プロジェクトであるTEMPER(Temporary versus Permanent Migration)の中心として多様な移民現象における短期移民と長期移民の差についての固定観念を問い直すという試みで注目されている。労働を通じて滞在の長期化が段階的に進行する日本の状況を照らし出すヨーロッパの経験の中の問題点の披瀝が期待される。
ジェマ・ピニョル Gemma Pinyol (Pompau Fabra University, 教授)
政策実践においてはスペイン内務省移民担当部長を経験し、現在はバルセロナを
拠点として、移民政策、反差別戦略、通文化都市プロジェクトのコーディネータ
ーとして、ヨーロッパ規模で研究と政策形成をリードしている。特に反差別を推
し進めるための反ウワサ戦略ant-rumorの立案展開で注目されている。反差別政
策の後進国、日本への示唆が期待している。
共催:一橋大学社会学研究科、科学研究費基盤A「移民受入れ国-送出し国の政策
相互連関」
後援:移民政策学会、国際交流基金
*日本人研究者を含むプログラムの詳細や実施の細目は、決まり次第、逐次、一
橋大学国際社会学ホームページで発表する予定です。このお知らせは、秋開催に
向けての暫定版です。
お問い合わせは、
一橋大学国際社会学研究室
吉年誠助手 Makoto Yoshitoshi
m.yoshitoshi@r.hit-u.ac.jp までメールでお願いします。
8月までをめどに、専用ホームページを開設する予定です。